租税回避の海外会社に網(28年12月17日)

公開日 : 2016年12月17日


 財務省は、企業や個人が税を逃れるために海外に移した所得への課税を強化するようだ。現在は企業や個人が海外の会社の50%超の株式を保有していないと課税できないが、実質的な所有者の企業や個人に課税できるようにする。
 
 低税率の国・地域に事業実態のないペーパーカンパニーをつくり、そこに所得を移転した企業や個人にも法人税を課税している。
 
 ただ、課税対象かどうかは資本関係に着目して判断しているため、企業などの中には株式保有を50%未満に抑え、租税の網をかいくぐるケースがあると指摘されている。
 
 財務省は資本関係が50%未満であっても、取引契約や会社の経営陣などから実質的な所有者かどうかを判断できる方法を検討する。
 
 タックスヘイブン対策税制は現在、税率20%未満の国・地域が対象。2017年度税制改正で財務省は20%以上の国・地域のペーパーカンパニーにも課税する制度に切り替える方針。
 
 さらに財務省と国税庁は、企業や富裕層に租税回避策を指南する税理士にも具体的な仕組みの開示を義務付け、拒んだ場合の罰則も設ける考えで、2018年度税制改正での実現を目指す。
 
 富裕層の相続税逃れにも網をかけ、相続人と被相続人が海外に5年超居住している場合、海外資産には相続税がかからないが、課税できるようにする。10年超居住していなければ課税できる案などを検討している。

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