高所得者の医療費負担増

公開日 : 2010年11月19日


 政府は世帯収入に応じて、医療費の患者負担の月額の上限を定める仕組み(高額療養費制度)を来年度にも見直す方針。高所得層の上限を上げて負担を増やし、年収200万円台の比較的所得の少ない層の上限を下げ、負担を軽くする。年収800万円以上の層を上げる方向で、対象を年収700万円程度まで広げる案も出ている。年収1,000万円以上の層では、上限が10万円程度上がるとみられている。

 医療費は、患者の3割負担が原則だが、難病や高度な手術などでは、医療費が1カ月で100万円を超える場合もあるため、世帯収入に応じて、一定額を超えた医療費を患者に払い戻す高額療養費制度という仕組みがある。

  同制度では、70歳未満で年収約800万円以上の「上位所得者」の医療費の負担の月額上限は15万強。年収210万円~800万円の「一般所得者」の場合、月8万円強。住民税が非課税で年収210万円を下回る「低所得者」の負担上限は月3万5,400円となっている。

 厚労省は年収800万円以上の区分を2つに分け、「年収800万円~1,000万円」の層の負担上限を3万円上げて18万円程度とし、「年収1,000万円以上」の上限を10万円前後上げて25万円程度にする案を検討している。同省によれば、財源を400億円近く捻出できるらしい。

*高額療養費制度
 病院の窓口で支払った1カ月間の自己負担が一定額を超えたとき、超過分が払い戻される制度。加入先の健康保険に申請して支給を受ける。夫婦子1人の世帯で年収約210万~800万円の「一般所得者」は、自己負担が月約8万円強になる。年に3回払い戻しを受けると、4回目からは月4万4,000円に下がる。

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