元会社員の年金減額の要件緩和

公開日 : 2012年4月16日


 厚生労働省は、退職した元会社員(OB)が受け取っている企業年金の減額を認める基準の緩和を検討。現在は受給者の「3分の2以上」の同意が必要だが、これを「半数以上」に下げる案が軸のようだ。中小企業に多い厚生年金基金の解散基準も緩める方向で、企業年金の財務が悪化した場合に受給者にも痛みを求め、しわ寄せが現役社員に集中するのを防ぐ。
 
 企業は元会社員への給付減額をするには、3分の2以上の同意を得たうえで、厚生労働省から認可を得る必要がある。減額が認められるのは、企業の経営が著しく悪化した場合や現役会社員の掛け金が著しく上がってしまう場合に限られ、この際も厚生労働省の判断に左右される。
 
 元会社員への給付減額の要件が厳しいため、企業は自社の年金の財務が悪化すると、現役社員の将来の年金水準だけ下げるか、現役社員が負担する掛け金を増やすことで、しのいできた。賃金が伸び悩むなか、掛け金の引き上げは限界との声が企業側から出ていて、民主党の一部にも元会社員の減額は必要だという意見がある。
 
 元会社員の減額をめぐっては、2006年にNTTが受給者の85%の同意を得たうえで、厚生労働省に減額を申請したが却下された。不服としてNTTは政府を訴えたが、裁判でも年金減額が必要なほどNTTの経営は悪化していないとし、減額は認められなかった。

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