中小企業の倒産急増

公開日 : 2012年8月2日


 中小企業金融円滑化法を利用していた企業の倒産が増加。融資の返済負担を軽減されても本業を回復できない企業が多い。同法の来年3月末の期限切れを控え、今年度に入って金融機関側が借り換えに応じないケースも出てきた。
 
 期限切れ後には、再生を見込めない融資先は「不良債権」として引当金を積まなければならなくなるため、中小企業金融円滑化法の期限切れを前に、金融機関が支援してきた中小企業への対応を少しずつ変えていると見られる。 
東京商工リサーチの集計によると、4~6月に倒産した中小企業金融円滑化法の利用企業の負債総額は約600億円と前年の同期間の約5倍。
 
 返済期限を延ばしてもらったり、融資条件を緩めてもらっていても肝心の売上高が減り、倒産にいたった企業が多い。
 
 企業倒産などで金融機関が回収できなくなった融資のうち公的な信用保証協会が肩代わり(代位弁済)した金額は2011年度には8,600億円。2009年度をピークに減少傾向だが、保証残高は今年5月時点で33兆円。日銀によると、企業が倒産した場合に金融機関で生じた損失額のうち約8割は信用保証協会が肩代わりしている。

※中小企業金融円滑化法
中小企業から返済条件の変更を要請された場合、できるだけ応じる努力義務を金融機関に課した法律。金融機関は焦げ付く恐れのある「不良債権」に必ずしも分類する必要がなくなった。中小企業の資金繰り難を防ぐ時限装置として2009年12月に施行。円高や東日本大震災もあって延長を繰り返し、2013年3月末が期限になった。

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