5,000万円超の海外個人資産の報告義務化

公開日 : 2013年6月23日


 来年の確定申告から新たに始まる「国外財産調書制度」により、海外に5,000万円超の資産を持つ個人は、報告が義務化される。海外に不動産や金融資産を持つ人の相続税の申告漏れ増加に対応する。

 同制度は、2013年末分から始まり、毎年末の時価をベースに判定する。対象となるのは海外にある現預金、株といった金融資産、不動産、高価美術品。
 

 年末時点の為替相場で、円に換算して資産額を確定し、2013年末分は2014年1月1日から3月15日に資産の種類や金額を示した調書を税務署に提出しなければならない。

 2013年末分の報告は経過措置として罰則規定の適用は見送られたが、1年後の2014年末分の報告から罰則規定が適用される。故意に調書を提出しない場合や虚偽の情報を記載した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される。
日本銀行によると、日本の家計資産のうち外貨建ての預金と有価証券の合計額は2011年度末で14兆6,650億円と5年間で約3割増加。国税庁のまとめでは2011事務年度(2011年7~2012年6月)に把握した海外資産関連の相続税の申告漏れは111件で5年間で4割増加。

 国内口座と海外口座との間で多額の資金のやりとりがあった場合は、金融機関が税務当局に報告する義務がこれまでもあったが、すでに海外に持つ不動産で得た賃貸収入などを海外の口座にため込んでいる場合などは把握するのが困難。

 故意の立証は税務当局側にある。

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