領収書のデータ保存がOKに

公開日 : 2014年11月15日


 政府は、税務調査の証拠となる領収書や契約書の原本を原則7年間保管するよう企業に義務付けた規制を2015年にも緩和する方針。3万円以上の場合に紙のまま保管するよう求めていたが、スキャナーで読み取って画像データを保存すれば原本を捨てられるようにする。米国や韓国は税務関連の書類の電子保存を広く認めている。

 2015年にも財務省令を改正して3万円の線引きをなくし、高額の領収書や契約書にも画像による保存を認める。

 大量に発生する領収書や契約書の保管に悩んできた企業にとっては倉庫代や運搬料など保管コストの大幅な削減につながる。

 経団連の試算では国内企業が領収書や契約書などの税務書類を保管するコストは合計で年間約3,000億円にのぼる。これらの保管コストをペーパーレス化でゼロにできれば、企業にとっては法人税の実効税率を約0.6%下げるのと同等のコスト削減効果を見込めるそうだ。

 これまでも3万円未満の場合に限ってスキャナーで読み取れば原本の廃棄を認めているが、分けるのが面倒なため、すべての書類を紙のまま保管する企業がほとんど。

 財務省は、領収書や契約書を受け取ってから速やかにスキャナーにかけること、読み取った日時がわかるように記録することや社内チェック体制の整備など画像保存の要件にするようだ。画像データについては現在の紙の領収書などと同様に7年間の保存を義務付ける。

 ペーパーレス化を進める韓国では、大企業の1人あたりの書類の保管量が日本企業のわずか2割程度。

 電子保存を認める国は企業側に脱税でないことを立証する責任を課す場合が多いが、日本では逆に税務当局側に企業の脱税を立証する責任を課している。

 財務省はこうした制度の違いを理由に紙の原本の保管にこだわってきたが、規制を緩和する一方、不正が横行しないように読み取りの方法などを細かく定める。
 

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