可処分所得10年で3%減

公開日 : 2018年4月12日


会社員の可処分所得はこの10年、増えるどころか減少している。
 
 可処分所得は個人の家計収入から税金や医療・年金といった社会保険料などの費用を差し引いたもので、教育費や生活費などをはかる重要な目安。夫婦で子どもが1人いる世帯を対象に、2017年の可処分所得が2007年からどう変わったかを当時の様々な制度をもとに試算したところ、年収500万世帯では約12万円減、年収1,500万円世帯で約33万円減という結果が出た。いずれもこの10年で3%前後の減少。
 
 背景にあるのは厚生年金保険料や健康保険組合に支払う健康保険料の上昇で、年収1,000万円世帯の社会保険料は約27万円増加。
 
 個人所得税は社会保険料が増えた分、所得から控除して税負担を軽減する仕組みがあるため、年収500万円と1,000万円の世帯では実質的な負担がやや減ったが、社会保険料の増加がはるかに大きい。年収1,500万円となると税と社会保険料の増加がダブルパンチで効いている。
 
 これからも会社員の負担は増える。まず社会保険料。政府は2018年度予算案に医師らの報酬引き上げを盛り込み、このコストをまかなうため個人の負担は増える。
 
 税制も同じで、今年から専業主婦世帯に適用する配偶者控除は一部の世帯で縮小・廃止になる。年収1,500万円の専業主婦世帯では負担が約15万円増える。
 
 フランスでは金融所得の税率は15.5%から60.5%と幅があるが、日本はこの税率が一律20%と先進国ではやや低め。
 
 低所得者の税率も低く、日本では所得税がかかる最低金額(課税最低限)が夫婦と子供2人で285万円と、欧米とそれほど大きな差はないが、適用税率をみると日本は5%の人が納税者全体の6割に上るが、英国では税率10%超から20%以下の人が8割。
 
 「とりやすいところからとる」という小手先の税制改正に陥りがちな日本。

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