役員報酬の公表、義務化に

公開日 : 2009年9月17日


 金融庁は2010年の3月期から上場企業などに役員報酬の公表を義務付ける方針を固めた。現在、任意公表になっている有価証券報告書で、役員報酬総額のほか、支払い形態や報酬額の決定方法を掲載するように求め、投資家が監視しやすくする。

 日本では、欧米ほどの高額報酬を出す企業は少ないが、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、金融機関幹部の報酬制限の指針策定で合意していて、国際的な流れを受けて、公表義務付けを固めたようだ。
 

 金融庁は年内にも、金融商品取引法に関する内閣府令の改正案を策定し、意見を募ったうえで、3月期決算企業が来年6月までに提出する有価証券報告書から掲載を義務付ける方針。
 

 上場企業のほか、非上場企業でも株主数が1,000人以上いる場合や社債発行会社なども対象になる。取締役と監査役に支払う役員賞与を含む役員報酬総額のほか、現金やストックオプション(新株購入権)といった報酬の支払い形態や報酬の決定方法も公表を義務付ける。例えば業績連動型報酬を導入している場合、売上高や最終損益などの増減が報酬にどの程度反映されるかなど明確な基準を示さなければならない。
 

 役員報酬総額は、定款または株主総会で決めることが会社法で義務付けられていて、多くの上場企業は有価証券報告書に総額を載せているが、支払い形態や報酬額の決定方法まで載せている企業はほとんどない。
 

 金融庁は来年度以降、役員の個別報酬の公表義務付けも検討していて、「代表権を持つ役員」など、対象者に一定の条件を設ける案が出ている。ただ、個別報酬の公表は、企業の抵抗が強いので、難しいかもしれない。

 与党となった民主党は、「公開会社法」の素案をまとめたりしているので、今後、役員報酬の公表に関しては、また動きがあるかも知れない

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