地域で保険料に格差(中小企業加入の「協会けんぽ」)

公開日 : 2008年9月17日


政府管掌健康保険(政管健保)が10月に衣替えする全国健康保険協会(協会けんぽ)で、09年秋にも都道府県による保険料の違いが出そうだ。政管健保の業務を引き継ぐ協会けんぽでは、各都道府県ごとに医療費の高低に応じた保険料を設定することを決めていて、10月の発足当初の保険料率は政管健保と同じ8・2%だが、1年以内に都道府県ごとに置かれる支部で域内の医療費の実情を踏まえて保険料率を3~10%の範囲で設定。医療費のかさむ地域では保険料を多く徴収し、財政の均衡を図る狙い。

保険料は事業主と従業員が折半して負担する仕組みで、負担率の高い地域に事業所があると、企業も従業員も負担が従来より増えてしまう。03年度のデータを基にした試算では、医療費の多い北海道や徳島県で保険料率が上昇し、長野県や群馬県では下がる。地域間の保険料率の差は1ポイント以上になる可能性がある。

制度設計の背景にあるのは政管健保の財政悪化で、08年度に政管健保に投入する国費は約8,100億円。医療費の増加で徴収する保険料を医療給付費に充てるだけでは賄えず、社会保険庁は積立金を取り崩して対応してきたが、残高は1,700億円(08年度末見込み)まで減り数年以内に底をつく可能性もある。政府はこれ以上の国費負担を避けるため、08年度に限り、大企業の会社員が中心に加入する健康保険組合(健保)などに負担を肩代わりさせる法案を国会に提出中だが、成立の見通しは立っていない。

今年度に入り、既に西濃運輸(岐阜県大垣市)など12の健保組合が収支の悪化などが原因で解散していて、健保組合の加入者が政管健保に移行すれば政管健保の財務がさらに悪化、巨額の国費投入につながる懸念もある。

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