正社員の副業後押し(29年1月24日)

公開日 : 2017年1月24日


 政府は「働き方改革」として正社員の副業や兼業を後押しする。企業が就業規則を定める際に参考にする厚生労働省の「モデル就業規則」から副業・兼業禁止規定をなくし「原則禁止」から「原則容認」に転換する。
 
 中小企業庁の委託調査によると副業の希望者は370万人。IT関連企業の中には「会社の資産を殷損しない限り報告も不要」とし、柔軟な働き方を認めている。自家用車で人を運んで対価を得るライドシェアや民泊のような副業も考えられる。
 
 まず厚生労働省が「モデル就業規則」を改定する。現行規則では、許可なく兼業・副業をした場合は懲戒処分の対象として罰してきたが、新たに改定する規則では、原則的に副業や兼業を認める規定を盛り込む。ただ「同業他社に企業秘密が漏洩する恐れがある」「長時間労働につながる」など例外的に副業が認められないケースも併記し、企業や社員が判断しやすいようにするようだ。
 
 モデル就業規則は企業への強制力はないが、中小企業ではそのまま転用する例も多いため、波及効果に期待している。
 
 現行の労働法制では、複数の企業で働いた場合「社会保険料や残業代をどの企業が支払うか」「労働災害の原因はどの企業か」の基準がなく、解禁をためらう企業も多いため、社会保険料負担のあり方などを示した政府指針(ガイドライン)をにつくる方向。
 
 IT分野では、2030年に約79万人の労働力不足が予想されている。

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