銀行の査定尊重

公開日 : 2013年9月4日


 金融庁はバブル崩壊後の不良債権処理を目的としてきた画一的な銀行検査を廃止し、融資先が健全かどうかの判断の大部分を銀行にゆだねる。技術力はあるのに決算上は赤字になっている中小・ベンチャー企業がお金を借りやすくなる。秋に3メガバンクから適用を始め、地方銀行・第二地方銀行にも広げる。仮に倒産しても銀行の経営に響かないような中小企業向けの融資は、原則として銀行の自己査定を尊重。大口融資先も加えることで、検査対象にする範囲を小さくする。

 銀行は赤字決算を出したり、返済が1~2カ月滞ったりした企業を「その他要注意先」として管理し、正常債権ではあるが「不良債権予備軍」ともいわれる。だが金融庁検査で不良債権とみなされると、銀行は引当金を積み増す必要があり、新規融資に応じられなくなっていた。

 金融庁が銀行の自主判断を尊重することで、銀行はその他要注意先の企業にも新規にお金を貸せることになり、創業期に赤字が続くベンチャー企業や、技術力はあるのに赤字に陥っている中小企業などが、将来的な成長力や潜在力をもとに運転資金や設備資金を借りやすくなる。

 銀行が「その他要注意先」と分類している貸出債権は、銀行全体の債権の1割程度(約40兆円)あり、今年3月末で切れた中小企業金融円滑化法で返済猶予を受けていた企業も含まれるが、金融庁検査の見直しを機に銀行の新規融資が増えるかもしれない。

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