生活保護費、111億円未回収

公開日 : 2015年10月28日


 生活保護の不正受給の返還を自治体が求める制度について、会計検査院の調べによると、自治体が必要な督促や調査を怠った結果、回収できていない債権が約111億円に上ることが分かった。

 生活保護法は、受給者が収入や財産を偽るなどして生活保護費を不正受給した場合などは、支給した生活保護費を徴収できると定めている。返還請求や督促は自治体が行い、手段を尽くしても5年以内に回収できなかった場合は欠損処理した4分の3を国が負担している。

 会計検査院が21都府県を抽出調査したところ、2013年度末時点で返還されていない債権は約13万件で計約490億2,000万円。このうち、自治体の督促や指導が不十分だったり、転居先を調べずに所在不明になったりして回収できない債権は約1万4,400件、計約111億7,300万円に上った。

 会計検査院は自治体の不手際で債権を回収できなかったのに国に負担を求めたケースで、国が支出した約6億3,000万円分は過大だったと指摘。厚生労働省は過大とされた支出については、自治体に返還を求めるようだ。

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