倒産防止共済の利用急増

公開日 : 2009年2月20日


 「中小企業倒産防止共済制度」の利用が急増。2008年1月~11月の中小企業の新規加入数は、20,000件を超え、前年同期比38%増。暦年ベースでみると08年は98年以来10年ぶりの高水準となる見込み。連鎖倒産に危機をもった中小企業が、信用保証制度による資金繰りだけでは不十分と判断した結果だろう。

 同制度は中小企業が、掛け金を積み立てておき、取引先企業が倒産し、売掛金や受取手形などの回収ができなくなった場合に、無担保、無利子で掛け金の10倍の貸し付けを受けられる。
 

 取引先が倒産して回収が困難な売掛金債権があるという条件を満たしていれば、金融(与信)審査なしに貸し付けを受けられ、貸し付けまでの期間が10日前後と迅速なのが特徴。
 

 中小企業基盤整備機構によると、新規加入件数は08年後半にかけて急増し、12月には3,500件以上の加入見込みがあったとみられ、前年同月と比べると2倍以上。08年(暦年)では約24,000件と、98年の約31,000件以来の高水準となったもよう。
 

 実際の貸付額も増えていて、08年1月~11月は前年同期と比べて50%超の約390億円と、07年(暦年)の貸付総額をすでに上回る。業種別では建設と製造、卸売業向けの貸し付けが大半で、特に業績が悪化している建設業では、手形が不渡りになるケースが後を絶たないという。
 

 背景には、中小企業の資金繰りの環境が悪化している事情もある。日銀の統計によると、全国の銀行の大企業向けの貸し出しは伸びている反面、中小企業向けは前年比マイナスで推移している。

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