「緊急保証制度」の代位弁済、2,000億円超

公開日 : 2010年9月9日


 中小企業の資金繰り支援策として2008年に導入した「緊急保証制度」で、貸し倒れが増えている。信用保証協会が債務を肩代わりした代位弁済額は、6月末で2,000億円を超え、融資総額の1%に達した。

 緊急保証制度は、全国の保証協会が金融機関の中小企業向け融資を100%保証し、融資先が破綻した場合は、保証協会が債務を全額肩代わりする。

 中小企業庁によると、同制度の融資で保証協会が代位弁済した額は、制度開始から今年6月までの20カ月累計で2,131億円となり、約20兆7,000億円の融資総額に対する代位弁済率(貸倒率)は1・03%。

 代位弁済は、今年に入り月間200億円のペースで、代位弁済率は同じ期間で比べた前回の特別保証の水準(1・19%)に近づいている。

 特別保証制度では、融資総額の約29兆円に対し、最終的に9・1%にあたる2・6兆円の代位弁済が発生した。当時は、企業が税金の滞納や債務超過の状態でなければ原則保証を認める実質無審査だったため、多額の貸し倒れが発生した。代位弁済の大部分は回収できずに税金で補てんし、国民が負担する結果となった。緊急保証は、元本の返済を猶予する据え置き期間を最長2年まで認めており、据え置き期間の満了となる秋以降は、貸し倒れがさらに増え、国民負担が増える可能性がある。

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