実家などの相続放棄が急増

公開日 : 2016年3月28日


 住む予定がない実家などの相続を放棄する人が急増している。維持費用や固定資産税の負担を避ける目的で、空き家問題が深刻化する恐れがある。所有者不在で倒壊の危険がある老朽家屋の解体費用は全て自治体持ちなため、安易な相続放棄の対策にのりだす自治体もあらわれてきた。

 司法統計によると、家庭裁判所への相続放棄の申立件数は2014年に182,000件。20年で約3倍に増加。以前は親が残した借金の放棄などが目立ったが、最近は、故郷を離れて就職した人が、固定資産税の負担を嫌い、実家の相続を放棄したいと希望するケースが増えているようだ。

  昨年5月に「空き家対策特別措置法」が全面施行し、自治体は一定の手続きを踏めば倒壊の恐れがある危険な空き家を行政代執行で強制撤去できるようになった。費用は所有者に請求できるが、相続人全員が相続放棄すれば自治体が負担するしかない。

 総務省の住宅・土地統計調査によれば、空き家は全国に約820万戸(2013年)で、総住宅数に占める空き家率は過去最高の13.5%に上り、今後も増える見通し。

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