返済猶予後の倒産増加

公開日 : 2011年9月15日


 中小企業金融円滑化法を利用して返済猶予を受けたにもかかわらず、倒産する企業が増えている。返済猶予後の倒産件数は8月に15件で、前年同月の2・5倍に膨らんだ。2011年1~8月末までの累計では2010年1年間の1・7倍。
 
 東京商工リサーチによると、中小企業金融円滑化法に基づいて金融機関から返済猶予を受けた企業の倒産が8月は15件発で、前年同月の6件から急増。今年1月~8月累計の倒産件数は83件、負債総額は648億円。既に昨年1年間の実績である49件、306億円を大幅に超えている。
 
 2009年末に施行された円滑化法は金融機関に対して中小企業や個人から金利減免や返済猶予などの返済条件の変更について申し込みがあれば応じる努力義務を課している。今年3月末までに切れる時限法だったが、2012年3月末まで1年間延長された。
 
 2009年末から今年6月末までに銀行が金利減免や返済猶予で対応したのは115万3,830件。信用保証協会が融資の全額を保証することで金融機関の貸し渋りを抑制する「景気対応緊急保証」制度を含めた政府の資金繰り支援策として、企業倒産の抑制に一定の効果があったとされる。
 
 ただ、応急的な資金手当てで生き延びても、経営体質を改善しないまま倒産に追い込まれる企業が増えている。
 
 日本政策金融公庫が実施した8月の中小企業景況調査によると、売り上げが「増加」と答えた企業の割合から「減少」と答えた企業の割合を引いて算出した売上DIはマイナス11・4。震災が発生した3月以降、マイナスが続いている。
 
 倒産件数を地区別にみると、関東地区が116件で最も多く、東北地区は手形決済に関する特例措置などによって倒産が抑制されている面があり、55件と全体の18%にとどまっている。
 
 中部地区は33件、九州地区でも23件あり震災による企業への影響は幅広い地域に広がっている。

 業種別では宿泊業を含むサービス業と製造業がそれぞれ74件で最多。建設業が54件、卸売業が46件、小売業が25件で続いた。

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