海外課税逃れ防止の情報交換倍増

公開日 : 2011年11月26日


 企業や個人が海外で得た収益の課税逃れを防ぐため、租税条約などに基づき2010年度中に国税庁が海外の税務当局に要請した情報交換の件数は646件に上り、2009年度(315件)から倍増したことが、同庁のまとめで分かった。情報交換の実績が公表されるのは初めてで、過去10年間に約850億円の申告漏れを発見したという。
 
 政府は近年、資産の流出先として知られ、オリンパスの損失隠しに関与したとされる投資ファンドもあったケイマン諸島などタックスヘイブン(租税回避地)といわれる国・地域の当局との連携を進めており、情報交換件数も増加傾向。
 
 2010年度中の情報交換の相手先は、韓国や中国などのアジアが443件で最多で、米国が130件で続いた。情報交換の結果、日本企業が原材料の輸入額を高く偽る手口で所得を隠していたケースや、海外で資産運用していた富裕層が運用益を申告していなかったケースが発覚したという。
 
 政府は1950年代から各国との情報交換制度の整備を進め、現在は64カ国・地域と租税条約や租税協定を締結しており、国税庁が依頼すると、現地の税務当局が銀行調査などを行い、日本人や日本企業の預金口座の残高や出入金状況を報告してもらう体制を整えているそうだ。
 
 このほか、海外の預金や株式購入で利子や配当が発生した場合は、国税庁の依頼がなくても現地の税務当局から定期的に情報提供される仕組みがあり、2010年度中は約12万3,000件の情報が寄せられた。

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